誰が君を殺したのか

児童文学で『だれが君を殺したのか』と言う本があります。
お父さんは若い頃、芸術家になろうと思ってがんばっていた。
ところが、自分には芸術的な才能はどうしてもないと思って、あきらめる。
そして、電気製品を売る仕事に就いて、一生懸命働いて、妻子を養っているんです。
その子どもが青年期になって、父親の昔の作品を見て皮肉交じりに「もし、ぼくにあれだけのことができたら・・・」「そしたら、電気製品のがらくたなんか持って走り回ったりしないな」
父親にとって、一番痛いことを言う。

そのときのお父さんの答えが、むちゃくちゃカッコいい。

「おれは、お前の望む父親ではないだろう。
理想の父親とか、そんなんじゃないだろうよ、だからとって、おれを傷つけることは許されない。
おれがおれ自身にいうのをはばかったこと、それをお前がいっていいと思うのは間違いだ。お前が知りたいのならいうがね、おれは自分自身と戦って、考え抜いたんだ。そして、ある日、はっきりと悟った。
おれの才能、その限界。おれの才能は、はたして自分の家族を飢えに晒す価値があるのか、計りにかけ、その価値なしと認めて、真剣な気持ちでパンをかせぐことに取り組んだんだ。
さあ、オレは今、静かに食事をしたい」


感激しますわ。このことに関しては何人も触れられない、とこんなふうにいえるのがすごい。
何をしたかじゃない、おれはここまで腹が決まっている、と。
それを言い出したら、これはもう絶対もう子どもに負けない。


盲点との出会い
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